「小飛ー、小飛ー?」

 どこいったんやろなー、小飛。

 いつもは、ちゃんと病院裏におるっちゅーのに。

「あーもー……、小飛ーー!」

 ウチは大声を張り上げて、探し人……もとい、探し猫の捜索を再開する。

 ああ、なんやイライラしてきたわ。

「しゃ・お・ふぇ・い〜〜〜〜!!」
























レンと小飛のピースフルな一日

























「にゃー」

「ん?」

 美由紀が庭でほのぼのとしていると、不意に、足元からそんな声がした。

 見下ろしてみると、そこには、彼女の足に擦り寄っている猫がいた。

―――あれ? 確か……。

 美由紀は、この猫が何なのか、ということに気付いたようだ。

「小飛」

 そう、当たりだ。

「ちょいちょい」

 彼女は取り敢えず、人差し指と中指を同時に動かして、「こっちおいで」の意を現した。

「にゃー」

 小飛はそれに応じ、美由紀の足の上に、ひょいっと乗りこんだ。

「わっ、可愛い……」

 美由紀はうっとりとして、目を細める。

 暫し、高町家の庭では、非常に穏やかな時間が流れていた。
































「にゃー」

「あれ? お前確か……」

 小飛がやって来たのは、今度は晶のところであった。

 どうやら、空手の帰りらしい。

「にゃー」

「な、なんだよ」

 警戒心を100%表に出して、晶は一歩二歩と後ずさる。

―――またひっかかれる気がするな。

 ごくりと、晶は固唾を飲む。

「にゃー」

 小飛はそんな晶の思いを無視するかのごとく、彼女へと近付いていく。

 いたって、それはひっかくような猫には見えない。

 ごくり。

 また一つ、晶は唾を飲み込んだ。

―――な、なんか大丈夫そうだな。

 晶はおそるおそる、猫へと手を伸ばす。

 ばりっ

「うわぁっ! やっぱりぃっ!」

「にゃー」

 晶は慌てて手を引っ込めると、傷ついていない方の手を高々と振り上げて、小飛を威嚇した。

「こらー! 待ちやがれぇっ!」

「にゃー」



































「小飛ー、小飛ー?」

 まったく……ほんまに、どこ行ったんやろなぁ。

 今朝から探してるのに、未だに見つかっていない。

 すでに、太陽は頭の上におる。

 はっ、もしかして、どこかで事故にでもおうてるんやないか!?

 たっ、大変や! 急いで探さんと!

「にゃー」

「そうやっ、お前も手伝え小飛! ……って」

「にゃ?」

 身を屈めて、ウチは小飛を抱き上げる。

 そして、ぎぅ〜〜っ、と抱き締めた。

「もう……、本気で心配したんやで?」

「にゃ〜」

 ウチに抱きすくめられると、小飛は気持ち良さそうに身を捩らせた。

 ん〜、自分で言うのも何やけど、やっぱかわえーなぁ、小飛は。

「さてと、今日はどないする?」

「にゃぁ〜」

「そや、今日は一緒に家で遊ぼか?」

「にゃあ〜」

「ほな、決まりやな」

「にゃー」

 小飛は肯定するように鳴くと、ウチの胸に深く顔を埋めた。

 ほな、さっさか行くでー。



































「ふぅ……、やはり休みの日に庭で茶を飲むのは、格別だ」

 庭に面した縁側で、茶を飲む男が一人。

 セリフだけ聞くと、まるで初老の男性にも思えるだろうが、声のトーンからして、そうではない。

 驚くなかれ。彼の名は高町恭也、れっきとした19歳の青年だ。

 趣味は盆栽、釣りなどなど。

 ……これでも一応高校生である。信じがたいが。

「……おや?」

 ぼーっとしてはいるが、何かの存在に気付き、恭也は声を上げた。

「あや、おししょ。こんにちわーですー」

「にゃー」

 目をそちらへと向けると、彼の瞳に、レンと彼女に抱きかかえられた猫が映った。

 恭也は湯呑を傍らに置くと、立ち上がった。そして、レンのところへと歩み寄る。

「にゃー」

「……」

 小飛が鳴声を出すと、恭也は無言で彼女の頭を撫でた。

 撫でられ、小飛は目を細め、気持ち良さそうに喉でごろごろと鳴いた。

「可愛いもんでしょ? おししょ」

「……ああ」

 恭也はぶっきらぼうに答えるも、実に嬉しそうに、猫の頭を撫でている。

「……おししょ、猫好きなんですか?」

「まぁ、それなりにな」

「それじゃ、ウチらと一緒に遊びません?」

 レンの突然の提案に、恭也は暫し動きを止める。だが、すぐさま首をゆっくりと縦に振った。

「あれ? みんな何してるの?」

 二人と一匹のツーショットを発見して、なのはがひょっこりと顔を出した。

 するとレンはにんまりと笑って、

「あ、なのちゃん。そーや、なのちゃんも一緒に遊ばへん?」

 と、楽しそうに言った。

 そして、なのははというと、

「うんっ!」

 と、元気良く、満面の笑みを浮かべて頷いた。




































「さーて、洗濯物取り込まないと」

 桃子は腕まくりをすると、庭へと軽やかに降り立つ。

「あら?」

 そこで、彼女は意外なものを見つける。

 洗濯カゴを静かに置くと、桃子はそろりそろりと移動し始める。

 目的地は、決まっていた。


































「あは、ほんとだ〜」

 まるで、子供のような笑みを浮かべ、フィアッセはカメラを構えた。

「普段はむすっとしてるくせに、寝顔だけは年相応なんだから」

 桃子は微笑みながら、フィアッセ主宰の撮影会の様子を見ている。

 カメラのレンズの先には、干してある布団の上で、幸せそうに眠る三人と一匹の姿があった。















そんな、あったかくて、平和な一日。



















終わり






後書き



 はいっ、てなわけで、20マソを踏んだガヤさんリクエストの、レンSSでしたー(月姫にあらず(謎
 すいません(土下座)
 いまいち、とらはのキャラは性格掴みきれていないんです。(那美さんだったら良かったのに……(ぇ?
 それじゃあ、全てはリクエストしたガヤさんのせいというこt(パン!)・・・・ぐふっ



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