One Day
by SOHA





















































休校日・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

素晴らしい響きだ。

ちなみに今日は金曜日。

明日の土曜日も休みになっている。

わざわざ半日しかない授業の為に学校なんてやってられるかと言うことだ。

理解のある教師がそろっていて嬉しいよ。

そんなわけで俺は朝から起きてゆっくりと休日を楽しんでいた。

秋子さんも休みなら寝坊しただろうがさすがに平日は仕事がある。

居候の身分ではいろいろ気を使ってしまうわけだ。

だが、秋子さんはそんなこと気にしない。


「もっとゆっくりしててもいいんですよ?」


と言われてしまった。

逆に気を使われる始末。

朝から起きて朝食を頂くのと、寝坊して頂かない。

結局はどっちが良いのだろう?

俺の乏しい常識ではどっちが良いかわからんな。

ちなみに秋子さんは名雪の分は用意していなかった。

用意するだけ無駄ということか。

賢母とは秋子さんの為にある言葉のように思える。

別に今回の事だけから言っているわけじゃないのだが。

そんなわけで秋子さんは仕事に真琴は保育園のアルバイトに行った。

気を使う必要の無い寝坊助は未だに寝ている。

もう陽が傾いちゃってるんですよ、旦那。

これなら24時間くらいは平気で寝過ごすだろう。

いつ目が覚めるかわからない。

むしろ人間の記録を塗り替えて欲しい。

ちなみに24時間ほど寝ると起きた時体がだるい上に上手く動かないそうだ。

俺は12時間以上寝たことが無いので知らない。

こんなこと聞くと入院患者のリハビリが如何に大変かわかる気がするな。

運動部所属ならかなり致命的な気がする。


「ただいま〜!!!!」

「ただいま、祐一さん。」


珍しい。

二人とも一緒なのか。


「お帰りなさい、秋子さん。

 お帰り、真琴。」


くすぐったい気がした。

今までお帰りなんて言うこと全然無かったからな・・・・・・・・・・

今度試してみるか・・・・・・・

何にとは聞くな。


「祐一さん、今日は出かけなかったんですか?」


昼食代に置いてあったお金がそのままになっていたからだろう。


「いえ、午前中に本屋に。」


小説などを。

誰だ?

俺の事を漫画しか読まない奴だと思っているのは。


「祐一!

 お土産は?」

「そんな理不尽な。」


俺が貰う方じゃないのか?


「漫画買ったんじゃないの?」


ここにイタヨ。

俺の知性を認めてくれないやつが。


「買ってない・・・・・・・・・・」


好きなのは知ってるけどな、自分で買えばいいじゃないか。


「じゃあ祐一が何の本買ったって言うのよ!!

 エッチな本でも買ったんでしょ?!」


以前の冗談を根に持っているようだ。

もし俺がそんな目に合わされたら確かに根に持つが。


「祐一さんも男の子ですからね・・・・・・・・・・」


秋子さんまでそんな事言うんですか?

しかもその目つき見覚えありますよ!

久しぶりの再会で成長を喜んだ親戚の目、そのものです。


「誰も俺の手元の小説に注意を払わないわけか・・・・・・・・・・・・・・・」

「そのことは置いといてお願いがあるんですよ、祐一さん。」


俺の人間性が誤解されたままお願いを承諾せねばならんのか。


「なんですか?」


だが、俺に秋子さんのお願いを断ることが出来るはずもなかった。

多大な恩が有るわけだし。

少しでも役に立てればといつも思っているから。


「真琴に折り紙を教えて欲しいんです。」

「折り紙?」


意外な言葉だ。


「真琴、ちゃんと説明してお願いするのよ。」

「あぅ・・・・・わかった・・・・・・・・・・・・

 保育園の保母さんがね、オメデタでとうとう入院したの。

 それでみんなでお祝いの言葉と千羽鶴を送ろうって・・・・・・・・」

「鶴の折り方を教えて欲しいのか・・・・・・・・・・・・・

 わかった。

 凝り性の祐ちゃんと言われた俺が教えてやろう。

 まず練習用にチラシを持って来い。」

「わかった!!」


慌ただしく出て行った真琴を見送る。

あだ名について突っ込んでもらえなかったことが少し寂しい。


「ところで秋子さん・・・・・・・・・・・・・・・」

「な、なんですか?」


秋子さんが俺に鶴の折り方を教えるように頼むことが少し変かなと。

だって、折り方知らない男の方が多い気がするから。

折り紙なら名雪のほうが適任だよなぁ・・・・・・・・


「何慌ててるんですか・・・・・・・・・・・・

 折り紙だったらもっと他に良いヤツがいたんじゃないですか?」

「それが・・・・・・・・・・・・駄目なんです。」

「は?」


折り紙ってそんなに凄いものだったか?

俺は得意な方だが。

俺でさえそうなのだから、秋子さんはかなりの技術があるのでは・・・・・・・・・・・


「凄く不器用なんです・・・・・・・・・・」

「はぁ・・・・・・・・」

「折り紙が苦手で・・・・・・・・・・・・・

 名雪も私の悪いところが移っちゃったのか不器用で・・・・・・・・

 あの人はあんなに器用だったのに・・・・・・・・・・・・・・」


そういえば名雪は凄く不細工な雪ウサギを作っていた気がする。


「秋子さんもいっしょにやります?」

「・・・・・・・・・・いえ、私は夕食の支度が済んでから・・・・・・・・・」


結構深刻なトラウマのようだ。

名雪はともかく秋子さんにそんなコンプレックスがあるとはね。

さすがに驚きました。


「祐一!!

 持ってきたわよ!!」


真琴が戻ってきた。

手にはたくさんの・・・・・・・・・・・・・


「そこまでたくさん持ってこなくても良かったんだぞ?

「でも・・・・・・・・・・・」


そんな仕草にドキッとする。


「じゃ、始めるぞ。

 隣に座れ。」

「うん!!

 ところで祐一・・・・・・・・・」

「なんだ?」

「オメデタって何?」

「子供が産まれるって事だ。」


考えてみりゃ結構微妙な言葉だ。


「ふ〜ん・・・・・・・・・・・

 子供ってどうやったら出来るの?」

「それは・・・・・・・・・・・・・・・」


何も知らない真琴に教えていいものなのだろうか?・・・・・・・・









なんだかんだでチラシで講義を始め、30分。

真琴は綺麗な折鶴が作れるようになっていた。

こうなると俺が退屈になる。

練習用の紙で変な物を作っていた。

品目は蛙、怪獣などなど・・・・・・・・・・・・


「なにこれ?・・・・・・・・」


やはり珍しいようだ。

自分の折った鶴と交互に見比べている。


「結構いろいろなものが出来るんだ。

 これは蛙、こっちは怪獣だ。

 怪獣なんか誰かさんみたいだろ?」


足跡が大きくて悪戯に失敗した誰かに。


「蛙・・・・・・・・・・・・・」


思い当たる節があるようだ。

パジャマの柄だからな。

足音がうるさいとも前に言ったかもしれないし。

まあ、回りくどいからわからないだろう。


「・・・・・・・・・・・なにか隠してる・・・・・・・・・・」

「なにも?・・・・・・・・・」


だが、この後から真琴の機嫌は悪くなってしまった。









































時刻は12時過ぎ。

案の定、廊下がきしみだした。

もちろん真琴だ。

すべきことは決まっている。

俺はベッドから抜け出し部屋を後にした。

















真琴は祐一の予測どおりの行動に出るつもりだった。

本日のエモノは肉球スタンプ。

恐ろしい結果が出るとわかりきった代物だ。


「・・・・・・・・・・・」


いつものように忍び笑いすることも無く淡々と彼の部屋に近付く。

真琴はドアノブに手を掛けようとしてドアの前に置いてある物に気付いた。

小さな籠に入った和紙で作られた小さな狐と花嫁。


「これ・・・・・・・・・・・」

「よく出来てるだろ?」

「!!」


突然背後から抱かれ真琴は驚く。

だが、相手が祐一とわかりおとなしくなる。


「どうやって・・・・・・・・・・・」


祐一は部屋にいるはずだった。


「簡単だ。

 名雪の部屋の窓の鍵を開けておいた。

 後はベランダを通って。

 それよりも悪かったな・・・・・・・・・・」

「なにがよ・・・・・・・・・」

「真琴を怒らすような真似をして。」

「そんなこと言ったって許してあげないんだからね・・・・・・・・」

「ああ・・・・・・・・・

 だから、それはプレゼントだ。

 それで機嫌を直してくれないんだったら・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「放してやらない。」

「あぅ・・・・・・・・・・」


しばらくの間の沈黙。

ごねていても真琴は祐一の温かさが心地よかった。


「許してあげる・・・・・・・・・・」

「それは良かった。

 じゃ・・・・・・・・・・・・・」


自由になる真琴の体。

体から離れていく温かさが名残惜しい。


「祐一!・・・・・・・・・・・・・・・・」

「なんだ?・・・・・・・」

「あぅ・・・・・・・・・・・・・・・・」


言葉に詰まる真琴。


「話でもしていくか?」

「・・・・・・・・!

 うん!!」


祐一の後に続いて真琴も部屋に入る。

何かあったような・・・・・無かったようなそんな日だった。

ちなみに名雪は睡眠時間の記録を更新中。