ガッツだなぎー







 瞬間、世界が変容した。

 目の前が真っ暗になり、自分の足場も分からなくなる。

 自分は果たして、上を見ているのか下を見ているのか、はたまたその感覚さえ壊れているのか。

 分からない。

 分からないが、原因だけは分かっていた。

 「何しやがるっ!!」

 ごすっ!!

 「んにょへっ!?」

 俺は、がばっと起きあがって世界レベルのボディーブローをカマしてきたみちるの脳天に拳を振り下ろした。

 をを、相変わらず意味不明な悲鳴だ。

 「なっ、何するんだ国崎往人ー!!」

 目に涙をためて叫ぶみちる。ちょっとだけ可愛いなんて思ったのは気のせいだったら気のせいだ。

 「お前こそ、いきなりいきなりなんてことしやがる!? 昼飯をお前のそのかんばせにリターンするぞゴルァ!!」

 「いつもの挨拶じゃないかー」

 「挨拶で死の淵をかいま見せられてたまるかっ!!」

 「うぅ〜、美凪ぃ。往人がいぢめる〜」

 みちるがぼーっと俺とみちるのやりとりを眺めていた遠野美凪に抱きついて言った。

 「……二人はらぶらぶ?」

 『違うっ!!』

 「息もぴったし。美凪ちんショック……国崎さんに弄ばれました」

 「美凪を泣かすな国崎往人ー!!」

 「しくしくしく。そして、みちるの幼い(自主規制)を無惨にも(中略)なんて、鬼畜な国崎さん。とゆーわけで、やっぱり二人はらぶらぶ?」

 くっ!? なんて子細な描写しやがるちょっと想像しちまったじゃねーか。

 「うぅ、美凪ぃ。みちる、国崎往人にそんなことされるんだ……やっぱりへんたいゆうかいまだ」

 とりあえずみちるは殴っておく。

 「にょめれっちぇっ!? な、何しやがるんだー!?」

 みちるはほっぽって俺は呟いた。

 「どっからどう突っ込んだもんだか……」

 「そんな困惑の国崎さんに進呈」

 「あ、あぁサンキュ……」

 そして、増えるお米券。

 「あー、美凪ー。みちるもみちるもー」

 「はい、みちるにも進呈」

 殴られた痛みも忘れ、遠野からお米券を貰ってわーいわーいと喜ぶみちる。

 いつもながら遠野ワールド全開だなぁ。





 そこはまぁ、それだけの話なのだが。

 美凪は悩んでいた。





 何でだろう?

 国崎さんとみちるはあんなにもらぶらぶなのに、自分と国崎さんはどーしてらぶらぶっぽくないのか。

 はっ!? もしかしてみちるも国崎さんにらぶらぶ?

 そして、国崎さんは幼いみちるの(以下略)……うっとり。

 「な、なぁ。みちる。遠野、何考えていると思う? あのきらきらした目」

 「んにゅ……分かんないけど、なんか寒気がするよぉ」

 「奇遇だな。俺もだ」

 「にょへぇ……」

 いけないいけない。考えるべきは私と国崎さんがいかにいかにらぶらぶになるかでした。

 うーん……

 「ガッツ」

 『なにがやねん』

 あ、二人ともやっぱり息ぴったり。しゅん。





 とゆーわけで。

 「どうすれば、国崎さんとラブラブになれるでしょうか?」

 「そーゆー質問を私のところに何故持ってくるのかがまず不思議なのだが」

 「作者のお気に入りだそうです」

 「あの腐れ作者に……おぞましい」

 霧島聖さん。いつでもどこでもメスを携帯している素敵なお医者様です。母のことでお世話にもなりました。

 「それで、何かいい方法はないでしょうか?」

 「ふむ。あの国崎君をな……よし、手術だ」

 「手術……ですか?」

 「遠野君。君はロボトミーと言う言葉を知っているか?」

 「はぁ、そう言う単語が出てくる歌なら聞いたことありますが」

 「どーゆー歌なのか微妙に気になるが……所謂、ロボトミーとは脳を改造などしてこちらの思うままの人格にしてしまう……と、この場合は言っても良いかな」

 「国崎さんを……思いのままに?」

 「うむ、どうかな?」

 国崎さん……思いのままに……まずは……

 「首輪」

 「不穏当な単語が聞こえたが気のせいと言うことにして、それでは彼を連れてきて貰いたい」

 「ところで、その手術は絶対成功?」

 「うむ。彼が手術に生き残ったら、彼の生命力に惜しみない拍手を送ると約束しよう」

 「ぱちぱちぱち。でも、いやーん」

 「棒読みで……ふむ。手術はダメか?」

 「ダメです。国崎さんがあっちょんぶりけになったらちょっと困ります」

 「……ふむ。ならば、そうだな。拉致監禁、しかる後に調教とか。ロボトミー手術よりは確実性に欠けるが、自らの手で調教するというヨロコビも」

 調教……やっぱり、首輪は重要。ついでにみちるも一緒に……

 「くすくすくす……」

 「なにやら、まったくさっぱり冗談だと思われていないような気もするが」

 「地下室、駅にあったかしら……あとは、手錠に……」

 「うーん、国崎君、みちる君。強く生きてくれ」





 はっ!?

 調教してしまったら、らぶらぶではなくて主従の関係になってしまう。

 それはそれで捨てがたいけど……捨てがたい……けど、やっぱりらぶらぶ。

 私がそれに気付いたのは、霧島医院を出て随分立ってからだった。

 「危うく、二人を奴隷にしてしまうところでしたとさ」

 ……国崎さんのツッコミがないと、ちょっと寂しい。

 「何をぶつぶつ言ってるんだ、遠野?」

 「国崎さん?」

 「おう」

 目の前にはいつの間にか、国崎さんが立っていた。





 遠野はいつもの無表情だったが、どっか寂しそうだった。

 毎日顔を合わせて、その人となりを知っていないと分からないものだろう。

 しかし、何故だ?

 「なぁ、遠野。なんか悩みでもあるのか?」

 「…………………………はい」

 「俺でよければ、相談くらいにはのってやるが」

 なんだかかんだで、俺はこいつのことが……まぁ、うん。

 コイツが寂しそうにしていると、なんか落ち着かなくなる。

 「……………………首輪……調教……」

 「……とゆーのはまぁ気のせいとして、どうしたんだ?」

 「らぶらぶ」

 「訳わからんし」

 「…………みちると、国崎さんはらぶらぶ」

 「だからちゃうって」

 「私は蚊帳の外。くすん」

 「なんだかなぁ……」

 つまり、遠野は俺とみちるが仲がいい……ように見えるのが微妙に不思議なのだが……から、蚊帳の外で寂しいって言いたいのか?

 可愛いところ、あるなぁ。

 「とゆーことで、私も国崎さんとみちるとらぶらぶ」

 「みちるも一緒にか」

 「はい」

 やっぱり謎だ。このねーちゃん。

 「楽しく3P」

 「マテ」

 「国崎さんは受け」

 「俺が受けなのか!?」

 ああああああ……脳が死ヌル会話だ。

 「とゆーことで、みちるも仲間。駅前にれっつらごー」

 「あぁ、母さん。往人はこの女に犯罪者にされてしまいそうです」

 亡き母に祈っても、もちろんなんにも答えは返ってこなかった。

 「これで3人はらぶらぶふぁいあー」

 無表情に言う遠野。だが、なにやらものすごく楽しそうなのは……良いことなんだろうか?





 「結局、国崎さんは私とみちるに手を出して二股あーんどロリコンの称号を手に入れてしまいましたとさ」

 「そーゆーオチなのかっ!? ソレで良いのか〜っ!?」

 「諦めろー!! みちるに手を出した時点で、しゃかいふてきごうしゃなんだぞー!!」

 「ちゃんちゃん♪」





ちゃんとオチた?


後書こう

 ウチのサイトで20万ヒットを踏んだ疾風さんに贈る、なぎーSSです。
 なんか、まったりと壊れてますなぁ……つまらなくてごめんなさい。