その日は、面白くないようで面白かった。

退屈なようで退屈でなかった。

よくわかるようで、よくわからない。

だけどなんとなくわかったような気分になる。
 

…そんな変な一日だったのに、平凡と言えばやっぱり平凡な一日。
 

そんな一日の話である。
 
 
 
 
 
 
 
 

「あー…暇だ」

昼休みの教室。

俺はすさまじく暇だった。

「名雪、なんか芸をしろ、芸」

横にいる名雪にそんな提案をしてみる。

「やらないよ」

俺の提案は即座に却下されてしまった。

…くそう、ノリが悪い奴だ。

「北川、なんか面白い話ないか? なんか」

後ろを振り返って北川にも話し掛けてみる。

「そんなこと急に言われてもなあ」

…北川も役に立たなかった。
 

「あー。暇だ…」

俺は再びそう呟きながら机の上に突っ伏した。
 
 






「Boring or Interesting?」












学食で飯を食べ終わった後の学生の行動パターンなんて大体決まっている。

特に、俺たちは教室で無駄話に華を広げているのがいつものパターンだった。

ところが、今日は特に話題が無かったのである。

昨日見たテレビの番組もみんな違う。

勉強の話なんかする気はしない。

おまけに香里はなにやら読書中。
 

「暇だ暇だ暇だ暇だひ、ま、だ〜!」

暇田さんって人間がいたら「呼んだ?」と反応しそうなほど、暇だを連発してみる。

「…祐一、子どもっぽいよ」

そんな俺を見て、苦笑いしている名雪。

「名雪にそんなこと言われたらおしまいだ」

だいたいこいつは授業中の8割は寝てるような気がするし。

「うー。祐一にだってそんなこと言われたくないよ」
「なんだと?」
「うー」

お互いに睨みあう。

「…うるさいわよ、あんたたち」

と、そんな俺たちに向かって香里が鬱陶しそうに呟いた。
 

「そんなこと言ってもなぁ。…暇なんだよ」
「はぁ。相沢君たちも読書でもしたら?」
「俺は1000文字以上見ると目まいがするんだ」
「はいはい」

適当に俺の言葉を受け、香里は再び本に目を移す。

「そういえば…何読んでるの? 香里」

興味を持ったらしい名雪が席を立ち、香里の持っている本を覗き込んだ。

「数学の参考書よ」
「…すうがく」

いっぺんに興味が無くなったような顔をする名雪。

「わい、いこーる、にえっくすびー…。うー…」

参考書に書いてあるらしい公式を読みながら、頭を抱えている。

「…数学は、苦手だよ」

どうやら、それ以上その本を見つめることを諦めたらしい。

名雪は複雑な表情をしながら顔を上げた。
 

「…あれ? 次の時間って英語だろ? なんで数学なんだ?」

そこへ飛び出る北川の素朴な疑問。

「確かにそうだなあ」

壁にかかっている時間割によると、次の授業は英語だった。

授業変更でもない限り、これは確実である。

「はっ! まさか次の授業は生徒会の陰謀で数学に!」
「変わってないわよ」
「…むぅ」

今日の香里はツッコミが厳しかった。

「…じゃあ、なんで数学の教科書なんか見てるんだよ」
「うーん」

少し小首を傾げる香里。

「そうね…。やっぱり面白いからよ」
「………面白いのか…」

俺にはどのへんがどう面白いのかさっぱり理解できなかった。
 

「ふふ…確かに、暗記するだけの勉強ってつまらないからね。気持ちはわかるわ」

そんな俺の様子を見ながら、香里ははにかんだ。

「あれ?」

その仕草はちょっと意外だった。

「香里は勉強が好きで好きでたまらないんだと思ってたぞ」
「…相沢君。怒るわよ」

笑顔でそんなことを言う香里。

「ごめんなさい、もう言いません」

俺は頭を深く下げた。

…こういうときの香里は結構怖い。

笑顔の下に隠された殺気というかなんというか。

「でも、わたしもちょっとびっくりかも」
「はぁ…名雪まで」

香里は少し頭を抱えていた。

「だって、香里って勉強が好きだから成績がいいんだと思ってたよ」
「だよなぁ」
「うんうん」

名雪、北川、俺、揃って香里の認識はそんなもんだったらしい。

「…そうかしら。勉強。つまり、勉めを強いる。…本質的にはつまらないものよ」
「うわぁ、美坂らしくないようなセリフだなぁ」
「俺たちならともかく、香里が言うと嫌味にも聞こえなくもないしなぁ」

学年主席、美坂香里。

俺たちと一緒のクラスで同じ勉強しかしてないはずなのに、この差は理不尽である。

「あのねぇ」

流石に苦笑いをする香里。

「例えば…相沢君たちだって、興味のあることを覚えるのは面白いでしょ? そういう勉強は楽しいじゃない」
「まぁ、それは確かに言えてるな」

俺も好きなことだったら簡単に覚えられるし、何より面白い。

それが国語とか数学とか英語とかじゃないのが不幸なだけだろう。

うむ、日本の学校の制度はおかしい。

もっと野球やサッカーの勉強をしたっていいじゃないか。
 

…ってのも無理な話だろうが。
 

「あれ、でもその理屈だと…香里はやっぱり数学が好きなんだよね」

不思議そうな名雪。

「惜しい。それだと80点」
「…違うの?」

名雪は何故か点数をつけられてしまっていた。

「じゃあ。数学が苦手だから逆に勉強してるってのはどうだ?」
「…遠ざかったわね。30点」

北川の答えは名雪より点数が低かったらしい。

「がーん」

嘘っぽい落ち込み方をする北川。

そんなにヤワな精神の持ち主じゃないだろう。おまえは。

「えっと、じゃあ…数学が楽しいってこと?」
「95点」

二度目の名雪、さらに高得点。

よし、ここで俺が正解を言って一発逆転をしなければいけないだろう。

「…なら、数学が面白くて楽しいんだな」

これで答えは完璧なはずである。

「うーん…98点」

がく。

「じゃあ正解はなんなんだよ」

これで駄目となると、他は思いつかなかった。

「そうね…全部当たってると言えば当たってるんだけど」
「…なんだそれは」
「当たってはいるんだけど…やっぱり違うのよね」

香里は少し顎に手を当てて、言葉を捜しているようだった。
 

やがて思いついたのか、口を開く。

「…うん。数学は楽しいのよ。…ただ答えが出るのが楽しいんじゃなくて、その過程が楽しいのよね」
「過程?」
「つまり、方程式とかを解いてる途中」
「うー。わたし、それ苦手」
「…俺も」

香里の言葉に、揃って情けない表情の名雪と北川。

「ふ。だらしないなぁ、二人とも」
「そういう相沢君はどうなのよ」
「俺はまどろっこしいことは考えないことにしてるんだ」
「…聞いたあたしがバカだったわ」

また香里は大げさに溜息をつく。

…が、それと同時に何かを思いついたような表情に変わっていた。

しかも、俺たちにとってはあんまり面白く無さそうな思いつきを。
 

「なら…よろしい。あなたたちに数学の面白さを教えてあげましょう」

本を丸め、ぽんぽんと手に当てている香里。

『えー!』

不平の声が揃う。

「いいわね?」

ぴたりと手の動きを止め、香里はにっこりと微笑んだ。

『…はーい』

…三人とも、しぶしぶ承諾。

「宜しい宜しい」

香里はそんな俺たちの様子に満足げであった。

香里の姿は…まるで近所の世話焼きお姉さんか、学校の先生のようであった。
 

もしくは女王さ…

げほげほ。

なんでもない。なんでもないぞ。
 
 
 
 

*
 
 
 
 
 

「というわけで問題。『1+1=2』これは一体何故でしょう」

香里は、俺たちに向かってそんな問題を出した。

ちなみに場所は、教室の後ろにある小さい黒板の前に移動している。

「はぁ?」
「はぁ? じゃないわよ。いいから言ってみなさい」
「そりゃ…りんごがひとつあって、そこにもうひとつ持ってきたらふたつになるだろう」
「その通り。相沢君、大正解」

香里はぱちぱちと小さく拍手をした。

…なんだかバカにされてるようなのは気のせいだろうか。

「じゃあ次よ。『0-1=-1』これを説明できる?」

かつかつ、と黒板に数字を書いていく香里。

「ああ? そんなもん…」

…そんなもん。

「ええと…わたし、いいかな」
「ええ、もちろん」

名雪は黒板にりんごの絵を描きはじめる。

…そのりんごは、何故が輪郭が点線だった。

「えっと。りんごがひとつも無いところから」

名雪は黒板の何も書いてない場所を指差す。

「りんごを取ろうとしても、できないから、一個足りないんだよね」

次に、名雪が描いた輪郭が点線のりんごを指差す。

「…その、『一個足りない』を数字にしたのが『-1』なんじゃないかな」

名雪はそのりんごの上に『-1』と書き加えた。

「…ああ。このりんごは…透明りんごを描いたのか」

透明りんごという言葉はおかしいかもしれないが、要するに『りんごがない』ということを説明したかったらしい。

「うん。そうだよ〜」
「おお。なんだかわかってきた気がしてきたぞ」

…そんなこと今まで考えたことも無かった。

それはそれで授業で習ったまま、そういうもんだと思ってたからだ。
 

「続きね。なら-1×2は-2。これを説明。…じゃ、北川君」
「ええっ? オレかよ?」

香里に指を指され、顔をしかめる北川。

「えーと…あれだろ。『×』ってのは。同じ数がいくつあるか、ってことなんだよな。確か」
「…北川。言ってることがよくわからんのだが」
「だからさぁ。-1×2って。-1+(-1)でも一緒だろ?」
「…うむぅ。わかりにくいぞ」
「じゃあ…りんごで例えればいいのか?」 

北川は名雪の描いた透明りんごを指差した。

「…りんごがひとつも無いところからりんごを取ろうとしても、できないから、一個足りない」
「ああ、それはもうわかった」
「そこからりんごをもう一つ取ろうとしたら二個足りない。…つまり『-2』だ」

透明りんごの隣に、もうひとつ透明りんごを書き足し、『-1』と書き加える。

「でも、それって、-1+(-1)なんじゃないか?」
「…だからさっきそう言っただろ? 話はちゃんと聞け」
「へいへい」

北川はふたつのりんごをそれぞれ別の丸でかこった。

「これとこれが-1と-1で…『-2』だろう?」
「おう」
「つまりこれは『-2』っていう固まりなんだ」
「…は?」
「だからさぁ…なんていうかだなぁ」

ぽりぽりと頬を掻く北川。

どうやらうまい説明が見つからないらしい。

「あー。補足してあげるわ」

そこへ香里先生、助言をかける。

「相沢君。うちのクラスって何人だったかしら」
「ん? …さあ? 数えたことないけど…32人くらいじゃないのか?」

かなり適当に数字を言ってみる。

というか、クラスの人数に一体何の関係があるのだろう。

「うん。それで、隣のクラスも32人だったら、相沢君、合計を出すときに、どうやって計算する?」
「…そりゃ…32+32…じゃないか?」
「なら、その隣も32人」
「ええと…32+32+32…って掛け算のほうが早いな、こりゃ」

これ以上増えると計算が面倒になってくる。

「うんうん。…あたしの言いたいこと、わかった?」
「…そうだなぁ」
「つまり、掛け算って『32』をひとつのグループとして考えてるのよ」
「あー。そう言われるとなんだかわかるかもしれない」

32人のクラスが3つあったら、32×3。

そしてそれは同時に32+32+32でもあるのだ。

掛け算は、同じ数字がいくつあるかを数えるときに便利。

「なんだか…凄く頭が良くなった気がするぞ」

気分だけかもしれないという突っ込みは禁止である。

「小学生程度の算数なんだからね」
「…うぐぅ」
「でも、こう改めて考えてみると…なかなか面白いでしょう?」
「うーむ。わかってるつもりだったのに、上手く説明できなかったからなぁ」
「うんうん。それで、さっきのに戻るわよ」

黒板を指差す香里。

『-1×2』

「-1っていうのも…それはそれで、ひとつのグループなんだね」
「そう。名雪、大正解」
「…俺が言おうと思ったのに」

気分は勢いよく手を挙げたのに指されなかった生徒そのものである。

「じゃあ相沢君、説明してみてよ」
「おう。いいぞ」

俺はふたつのりんごを指差した。

「『-1』というグループがふたつあるから『-2』なんだな?」
「そうそう」
「それで、数が増えても『-50』とかのグループが何個あるのか、ってのが掛け算なわけだ」
「大正解」
「…ふ、俺の実力を思い知ったか」
「あら? じゃあこれはどうかしら?」

香里はにっこりと微笑むと、こんな問題を黒板に書いた。
 

『-2×-2』
 

「はい。説明してみましょう」
「答えは4…だよなぁ」
「ええ。そうよ。どうしてそうなるか」
「…むぅ」

『-2』というグループが『-2』グループだけあって…

「ああ。『-2』個りんごがあるときに、そこからさらにりんごを『-2』回取ろうとしてるんだ」
「それ、全然意味がおかしいわよ。『-2』回取るって何?」
「いや…だから、二つ取る…あれ? 違うな。それじゃプラスだもんなぁ…」
「頭痛いよ…」

名雪は既にグロッキー状態だ。
 

「りんごで考えないで、他のことで考えたほうがいいわよ」
「うーむ」

りんご以外で何か。

…うぐぅ。

「全然わからん。降参だ」
「あら、もう?」

妙に自慢げな香里。

「くそう、教えろ」

なんだかだんだん口惜しくなってきた。

「じゃあ…相沢君と北川君」
「なんだ?」
「とりあえず、横に向いて立ってみて」
「それ、関係あるのか?」
「無きゃやらないわよ」
「むぅ」
「言われたとおりにしようぜ、相沢」

北川はおとなしく右側を向いていた。

「あ。じゃあ相沢君は北川君と逆側に向いて」
「…? おう」

言われたとおり、俺は左向きで横に立つ。

つまり、俺と北川で背中合わせのような状態だ。

「北川君、一歩前へ」
「おう」

北川が俺から離れる。

「はい。名雪」
「うん?」

香里は、北川が最初にいた位置…つまり俺のいる場所を指差した。

「あそこが、0だとしたら、北川君はどうなったのかしら?」
「ええと。一歩進んだ」
「そう。それが+1なのよ」
「それは五歩進んだら+5ってことか?」
「ええ。そうよ」
「これはわかりやすいなあ」

さっきまでのほうがよっぽどややこしい。

「そう? じゃあ相沢君はどうなるのかしら」
「む?」
「祐一は0なんじゃないの?」
「ええ。そうよ」

頷く香里。

「じゃあ北川君。そこから相沢君の場所に、振り向かないで行くとしたらどうしたらいい?」
「振り向かないで? うーん」

目の前で考え込む北川。

背中からも、悩んでいる様子がわかるのが北川のわかりやすいところである。

「そんな考えることないだろ? 後ろ向きで一歩下がればいいだけじゃないか」
「あ。そうか」
「そう。相沢君。正解よ」

嬉しそうな声を上げる香里。

「…は?」

なんか俺、言ったっけ。

「後ろ向きで一歩。…それが『−1』なのよ」
「あー」

なんとなくわかった。

「つまり今の北川は『1-1』をやったんだな?」
「ええ。ここで重要なことがひとつ。掛け算では足し算や引き算とはマイナスの意味が大きく変わってくるのよ」
「意味が変わる?」
「そう。掛け算とか割り算だと、マイナス自体が『反対』とか『逆』っていう意味なの」
「…ん?」
「例えばこの場合。プラスの『×2』や『×4』なら前向きで進むじゃない?」
「ああ…そうだな」

それはごく普通の計算である。

「そうすると、マイナスの『-2』や『-4』が後ろ向きに下がる…わかるかしら?」
「ああ、それはわかるんだよ。でもどうして『-2』×『-2』がプラスになるのかわからない」
「…北川君の動きには優先順位があるの」
「オレの?」

自分で自分の顔を指差す北川。

「ええ。『マイナス』は『反対向きで進め』…つまり後ろに下がれって命令なのよ。それが何よりも北川君にとって大事なの」
「そうなのか…」
「あくまで計算式上の話なんだけどね。まあとにかく、北川君はそれに最優先で従わないといけないの」
「それで…どうなるんだ?」
「結局…『マイナス』×『マイナス』を言葉で言うと、『反対の反対』なのよ」
「…は?」
「要するに、ひねくれた言い方をしてるの。裏の裏は表、みたいに。反対の反対をやれって命令なの」
「うーむ…反対の反対か…じゃあ『-2×-2』の場合は…『二歩進むことの反対を二回やることの反対『』か?」
「ええ。でもそれだと何を言ってるかよくわからないでしょ?」
「…まあなぁ」

自分でも何を言ってるのかさっぱりである。

「そこでさっきのことを思い出して。『二歩進むの反対』は『二歩下がる』でしょ?」
「そうだな」
「なら、そう言い換えてみるとよくわかるわ」
「む…そうか。じゃあ…『二歩下がることを二回やること』の反対」
「もうすこし捻ってみて。…そうするとどうなるかしら?」
「むぅ…」

『二歩下がることを二回』の反対。

…そうすると、ややこしいが言いたいのはこういうことなのだろう。

「じゃあ結局は二歩進むことを二回…ってことなのか…」
「ぴんぽんぴんぽーん。そういうことよ」
「おお…」

自分で自分に感動する。

「俺、頭いいじゃん」
「まぁ…ややこしい話ではあるわよね。回数自体はまったく変化してないんだから」
「…ああ。言われてみればそうだな。どっちも二回だしなあ」

なんとなく変な気もしないでもない。

「あはは。…まあ、説明はこれくらいにして、と」

香里は髪の毛をはらりとなびかせた。
 

「例えば、掛け算とかも…小学校で教えてもらうまでは、全く知らなかったわけじゃない?」
「俺は知ってたぞ。なんせ天才児童だったからな」
「…それが今じゃどうしてこんなになっちゃったんだろうね」

名雪は何故か悲しそうな目で俺を見ていた。

「やかましい」
「…はいはい」

ぱんぱんと手を叩く香里。

先生が授業に集中させようとするときによくやる行動である。

「結論から言えば…数学って、そういう考え方を学ぶんだと思うのよ」
「どっかで聞いた話だな…」
「始業式のとき校長がそんな話をしていた気がする」

…意外。北川はちゃんとそういう話をしっかりと聞いているらしい。

絶対、まともに聞かないで隣の生徒と無駄話をしているタイプだと思ったのに。

「ええ。公式を覚えるっていうのは…『こういうやり方もあるんですよ』っていうのを覚えるってことだとあたしは思うのよ」
「なるほど。そういう考え方もあるのか…」
「ええ」

香里は少し間を置いた後、こうはにかんで言った。

「…そう考えると、なんだか楽しくなるじゃない?」
「うーむ」

確かに今まで色々と考えた時間は、楽しかった。

まるで勉強なんかじゃないように。

「要するに、考え方次第で、面白いつまらないは変わるってことか」
「…そう。だからね、ほら」

香里は壁に掛かっている時計を指した。
 

キーンコーンカーンコーン…
 

それと同時に鳴り出すチャイム。

それは、昼休みが終わったことを示していた。

「休み時間はこれでおしまい。…どう? 今日の昼休みは暇だったかしら?」
「うーむ」

そう言われると、こう答えるしかないだろう。

「いや…。なかなか面白かったぞ」
「そう」

言葉は控えめなものの、香里は少し嬉しそうだった。

「うん。参考になったしね」
「まあ…こういうのもたまにはいいなぁ」

北川と名雪もまんざらではない様子だった。

「じゃあ…。毎週この時間は抗議にでもしましょうか?」
「………」
「………」
「………」

そう言われると、やはりこう言ってしまうのが人間のサガなのである。
 

「いや…やっぱり勉強はもう、こりごりだ」
 
 
 
 
 

その日は、面白くないようで面白かった。

退屈なようで退屈でなかった。

よくわかるようで、よくわからない。

だけどなんとなくわかったような気分にだけはなる。
 

…そんな変な一日だったのに、平凡と言えばやっぱり平凡な一日。
 

そんな一日の話である。
 
 



どうもSPUです。
えー。これはなんというか…
変なSSです(吐血)

題名の
「Boring or Interesting?」の訳は、「つまらない? それとも面白い?」です。
 

今回は「つまらないことをいかに面白く見せるか」を追求したつもりなのですが、うーむ。

さあ、あなたの感想は!(ぉ
 

…読んでくださって、どうもありがとうございました〜